新しい人よ目覚めよ

言わずと知れたノーベル賞作家・大江健三郎私小説です。
ひさしぶりの純文学です。
明治以外ではどれくらいぶりでしょうか。

しかし、残念ながら僕にはこの本はまだ早かったようです。
話の内容は私小説なのでまあ理解できるのですが、そこにこめられたメタファというものがどうにも十分に理解できませんでした。
自分の知識不足に起因する部分もあるでしょう。
ブレイクも読んだことないですし。

それでも伝わってきたのが、生きるということについて。
ブレイクのキリスト教的な生の姿を足がかりに、大江自身の神話的に意味づけられた経験を交えつつ、直接的には障害を持つ息子であるイーヨーとの生活を通して生きている人間について語られています。

ただ、この一種悟ったような生へのまなざしは、大江が初めてブレイクに出会ったのと同じ駒場に通う学生であるところの僕には今ひとつピンと来ません。
生とはもっとリアルであり、かつ液体よりも可変なもの、というふうに今の僕はとらえています。
もう少し年をとれば変わってくるのでしょうけど。。。

20年後にもう一度読みたいと思いました。


新しい人よ眼ざめよ (講談社文庫)

新しい人よ眼ざめよ (講談社文庫)