となり町戦争、戦国自衛隊1549
珍しく一日に二冊も本を読みました。
両方とも戦争を取り扱っているという点では共通していますが、まったく違うお話ですね。
戦争というモノにたいするスタンスも違うようです。
『となり町』はストレンジャーとしての戦争。
『戦国自衛隊』は舞台としての戦争。
戦争というモノをより正面から扱っているのは前者でしょうね。
後者は、まあ、おなじみ福井節。
どちらも面白かったです。
当然ですが、それぞれによかったところと悪かったところがありました。
前者では香西さんの儚さや戦争のストレンジネスがとてもうまく描写されていましたし、ストーリーも必要十分といった感じ。
さわやかな読後感です。
後者ではストーリーそのものが実に面白い。
映画版より丁寧に書かれている分、ストーリー展開は面白く読めました。
ここのところは素直に福井を褒めるべきところでしょう。
悪い部分を言うなら、前者は象徴としての主任がいまいち生かしきれていなかったというのがひとつ。
ただの思わせぶりなおじさんになってます。
それから、結局のところ作者の問題提起が中途半端になってしまっている気がしますね。
それは福井にも共通に言えることですが。
要するに、どちらも一般的な大問題を提示しているのに最終的に個人のレベルに矮小化してごまかしているようです。
答えを出せとはいいませんが、もうちょっとどうにかならないものなのかな、という気はしますね。
後者の悪いところは、怜がいらないってのが一番大きいですね。
あんなに紙幅費やされているのに、全然効果的じゃないです。
濃姫は比較的うまく描かれていましたが、それに対して七兵衛の扱いが軽すぎていまひとつ。
総じてキャラの扱いのバランスが悪いと思いました。
あと、どう考えても挿絵は要りません。
まあ、それでも両方とも一読には値するものだと思います。
特に前者は清涼剤的にいいかも。
たまにはミント風味の純文学でもいかがですか?
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