夏と花火と私の死体
乙一のデビュー作です。
相変わらず、キレてます。
一番乙一らしさが出ている点は、やはり視点でしょう。
そのあたりのセンスには、いつもどおりぐうの音も出ません。
最初の作品からやはりこうだったんですねえ。
尊敬です。
そして、アイデア倒れに終わらない筆致の巧さもあります。
展開も文体も、強く先を読ませます。
これらの両方を兼ね備えているのが、乙一なんでしょうね。
才能を再確認しました。
しかも、これを書いたのは16歳のとき。
なんてこったです。
難点を挙げるとすれば、オチの弱さでしょうか。
いちおう予想を裏切ってはくれるのですが、裏切り方が今ひとつ凡庸だった気がします。
乙一ならもっと鮮やかにやってくれそうだというのは、期待しすぎなんでしょうかね?
- 作者: 乙一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2000/05/19
- メディア: 文庫
- 購入: 10人 クリック: 218回
- この商品を含むブログ (332件) を見る