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ひさしぶりに面白い小説を読んだ気がします。
佐藤正午は『取り扱い注意』に引き続いて二冊目ですが、個人的にはこっちの方が好きですね。
四畳半神話大系』を連想しました。
解説でも書かれていますが、この作品の本質はやはり恋愛群像モノであるというところでしょう。
SFや映画など、いろいろな要素を含むと言っても、やっているのは結局のところ男たちと女たちの物語なのです。
キャラクターがそれぞれ生きていて、それぞれの人生を持っています。
もちろん各キャラクターは人生の瞬間瞬間において選択を繰り返し、無数の分岐を経て生きています。
それでも変わらない運命ってあるんじゃないってのは、やっぱり『四畳半』ですね。
一番の見せ場は今の秋間の北川に対する感情の変化、でしょうか。
実に巧みです。
うん、なかなかおもしろかった。


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