θは遊んでくれたよ
森博嗣を見限って久しいですが、なぜかまた買ってしまいました。
図書券が財布に1000円分あったしね。
この作品はGシリーズの第二作です。
Gってなんだ。Greek Alphabetか。
今作で各章の頭で引用されているのは、J.S.ミルの『自由論』でした。
ちなみに同シリーズ前作『Φは壊れたね』はウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』。
野矢先生の新訳版でしたねー。
僕に良をつけた野矢先生の。
なんで優じゃないんだ。
いや、まあそんなことは今作には絶望的に関係ありません。
内容。
どうなんでしょうね。
全然ドライブ源というか、引きがない。
次のページを読まずにいられないっていう魅力が全然ないです。
トリックの切れ味もありません。
前作はもちろんのこと、過去のシリーズのネタもたくさんでてきます。
というより、前提として使われています。
過去のシリーズの知識がなければ相当に消化不良になるのでは。
つーかあれだ。
過去シリーズの登場人物はみんな神のごとき扱いを受けています。
これでは本シリーズの探偵役である海月くんは完璧に道化です。
S&Mではキャラがよかったのに。
それにすがっていると言えるかもしれません。
残念ながらS&Mのキャラは賞味期限切れのようですが。
ここまで否定一色でしたが、私はただの一シーンによってこの作品を買ってよかったと思っています。
実に一シーン。
萌絵と愛ちゃんの屋上のシーンで、僕は森作品で初めて感動しました。
詳しくはネタバレになるので述べませんが、非常に情感的な美しいシーンです。
例えるならば、あまりにも繊細で今にも壊れそうなガラス細工。
透明で切ない、感動的なシーンでした。
森博嗣はミステリ作家ではなく、セカチュウ作家にでもなるべきであると思いました。
もちろんセカチュウなんか読んでませんが。
ピカチュウ。
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/05/10
- メディア: 新書
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