飾られた記号 ほか
前回の更新から早4ヶ月。思い出した頃に更新するのは、思い出して更新するからです。
さて、わが新月お茶の会では必読といっていいこの一冊、佐竹彬『飾られた記号』そしてその次の『三辺は祝祭的色彩』を読みました。
世間で言われるほど劣化森とは感じませんでしたね。特に情報学という設定は面白いと思います。ギリシャ哲学あたりから着想したのでしょうか。一人称の心理描写もなかなかいいと思います。
ただ、問題として情報学という設定があまり生かせていません。やろうと思えばもっといろいろ楽しいことができるような気がします。そして人物の描写がまともに描かれていません。(しかしこの問題についてはイラストがあることによって解決されています。これは作家としてどうよ、とも思いますが、ラノベという媒体であることを計算の上でしょうからこのことは問題にする必要がないのかもしれません。)あと、一語で改行する手法が多用されすぎていると思います。自由連想や思考の推移をリアルタイムで表すのには確かに効果的ですが、その必要がないところでまで使うのはよくありません。それと奈須きのこ。
世間的にはミステリとしてみたらカスというような扱いをされているようです。まあそりゃそうでしょうけど。(驚くべきことに、二巻目はこの私でさえかなり早い段階で仕掛けが分かってしまったのですから。)しかし電撃はラノベレーベルですからねえ。その批判は当たってないような気がします。ミステリ風味だけどやっぱりファンタジー(ないしはSF)っていうのが正しいでしょう。
一巻目はともかく、二巻目は完全にシリーズの一部になっていて単独では読めない話になっていると思います。このへんを不親切とみるかどうか。三巻目への引きは十分あると思いますが、それぞれ独立して面白くないと許せない人は多いでしょうし、そういう人はきっと三巻目は買わないでしょう。個人的には、このシリーズの場合は下手にシリーズとしてのつながりを出すよりもそれぞれを深めた方がいいものになるような気がしますね。
これから三巻目を買うかどうかは気分しだいといったところ。ちょうどいいときに見かければ買ってもいいかなっていう感じです。
積極的に人に勧めるほどではないですが、合う人には合うと思います。
- 作者: 佐竹彬,千野えなが
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2005/06
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三辺は祝祭的色彩―Thinkers in Three Tips (電撃文庫)
- 作者: 佐竹彬,千野えなが
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