ロザリオの授受に関して
『マリア様がみてる』(通称『マリみて』)では、姉妹(スール)の契りを結ぶとき、ロザリオの授受が行われます。
このロザリオの授受に関して、長い間ある謎がありました。
その謎というのは、「ロザリオは代々受け継がれるものなのか、それとも妹ができたときに姉が新しく買うものなのか」というものです。
原作ではこれが明らかにされていなかったため、様々な推測が飛び交っていました。かく言う私も、昨年の夏学期に受講した「現代教育論」のレポートでリリアン女学園のことを書くにあたり、どちらがより妥当か頭を悩ませたものです。
しかし、先日発売された最新刊『チャオ ソレッラ!』においてついにこの謎が明かされました。
その答えは、「任意」。 (;´Д`) マジカヨ
各姉妹によって代々受け継いでいたり、新しいものを買ったりしているようです。
ちなみに白薔薇一家は代々受け継いでいて、黄薔薇一家は新しいものを買っているとのこと。紅薔薇一家は不明らしいです。
では、どうして統一されていないのでしょう。
ちょっと考えてみますか。
代々受け継ぐ場合のメリットとデメリットをまず挙げてみます。
●メリット
・ロザリオに重みが増す
・新しく購入する必要がないため、経済的
・突然妹ができた場合でも即座に対応可能
●デメリット
・ロザリオの重みが負担になる可能性がある
・妹ができた場合、姉からもらったロザリオを手放さねばならない
・手入れを怠って劣化した場合や亡失した場合、自分だけの問題に留まらない
・デザインが気に入らないものであってもどうしようもない
・妹ができなかった場合、伝統を自分で止めてしまうことになる
基本的にはこの裏返しですが、新しく買う場合のメリットとデメリットを。
●メリット
・姉からもらったロザリオを一生自分のものとして持っておける
・劣化したり亡失しても比較的問題は軽い
・自分で選んで買うことで、妹への想いをより強くこめられる
・好きなデザインのものを選べる
●デメリット
・経済的負担がある
・突然妹ができた場合にその場でロザリオの授受ができない
・ロマンチック度数がやや低い
これらを踏まえてみると、やはりどちらにも良い面と悪い面があるようですが、総じて前者の方がロマンチック度が高く、後者の方が自由度が高いように思えます。
が、いずれのメリットもデメリットも、取り立てて決定打となるようなものではありません。どちらであっても不自然ではないといえます。
もしどちらかに決められていたとしたら、リリアンの保守性も考えあわせると、きっと変更しようなどと思うことはなく伝統的にそれが続いていくのではないかと思います。
そう考えると、統一されていないというのもやはり単に伝統でしょう。
したがって、この麗しきロザリオの授受という儀式を最初に始めた世代はそれを統一しなかったということになります。
これはロザリオの授受が学校行事等ではなく、自然発生的に生まれた儀式であることを示しています。
明確なルールなく生まれた儀式が、明確なルールなきままに伝統と化して連綿と受け継がれてきたのでしょう。
先に述べた通り、統一する必要に迫られるような大きなメリットもデメリットない以上、この伝統はこれからも曖昧なまま続いていくでしょう。
どちらにせよ、運命的な出会いの末に姉妹を見つけてロザリオの授受を行うという儀式の美しさは損なわれません。
ロザリオがどんなものであろうと大切なお姉さまからもらったものならきっと妹は大切にするでしょうしね。
ロザリオがどうこうより、自分にぴったりの姉妹を見つけることの方が大切だということです。
最後に『チャオ ソレッラ』より、由乃さんのセリフを引用しておきます。
「令ちゃんが私にくれた大切なロザリオをあげてもいいくらい、可愛いと思える妹を選ばなくちゃだめだと思ったの」